世界トップレベルのコンビニで、何が起きている?~前編~

さて、私は今、デンマークにいます。

北欧4か国で一番セブンイレブンが多い国、それがデンマークです。
ちなみに、北欧4か国とはスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドのこと。面積は、マップで見ると一目瞭然!デンマークが断トツで小さいです。

さて、日本を含めて世界18か国に進出しているセブンイレブン※1ですが、お店の中に入ると、そこには私たちの知っているセブンイレブンはありません。その土地に根付いた光景が広がっているのです。
※1 2022年2月現在

 https://www.sej.co.jp/company/yokogao/data/index.html(セブンイレブン公式サイト)
海外で懐かしさを求めてセブンに入ってはいけませんね。。

というわけで、日本要素ゼロのコンビニを見て育ってきた、デンマークにいる友人たちは、セブンイレブンの看板が日本のセブン&アイグループのものであることをほとんど知りません。そんな中、7-ELEVEN Denmarkは、2019年にNACS Convenience Summit Europeというコンビニエンスストアの国際会議で、その革新的な戦略によりTop Awardを受賞しています。

今回の記事では、そもそもセブンイレブンって日本の会社と言えるの?というところから、デンマークのセブンイレブン店内レポートまで、じっくりと書いていきたいと思います。

セブンイレブンの歴史

日本では、ほぼ3強になりつつあるコンビニエンスストア。
セブン、ファミマ、ローソン
日本で最初に1号店が開店したのは、どのコンビニだと思いますか?

正解は、1973年開店のファミリーマートです。続いて翌年の1974年にセブンイレブン、1975年にローソンと続きます。この頃は、高度経済成長を遂げて大量生産が進む中、大型スーパーが激しく競い合っていた時代でした。

(これだけセブンイレブンの話をしてきましたが、セブンではありません…)

日本では戦後に広がったコンビニですが、生まれはもっと昔のことでした。

7-ELEVEN、アメリカで生まれる。

コンビニの原型ともいえるお店が誕生したのは、1927年のアメリカ・テキサス州。日本では昭和が始まったばかり。
電気冷蔵庫のなかった時代に、当時は生活必需品であった”氷”を売る小売店で、来店者からの要望により、牛乳や卵などの食料品を提供したことから始まりました。※2
そして1946年に、名前が7-ELEVENとなります。
※2 https://www.sej.co.jp/company/history/history_02.html(セブンイレブン公式サイト)

順調に店舗数・売り上げを伸ばしていくのですが、それではなぜ、7-ELEVENが日本の会社になったのでしょう。

背景には、その後のアメリカ国内でのコンビニ競争激化やブラックマンデー(世界的株価大暴落)による、破産寸前までの経営状況の悪化がありました。

そこに、当時、勢いに乗っていた日本のイトーヨーカ堂とセブン-イレブン・ジャパンが出資して、サウスランド社の株式を7割取得したのち、最終的には2005年にアメリカの7-ELEVENは完全にセブン-イレブン・ジャパンの子会社となりました。

7-ELEVEN、世界へ。そして北欧にも⁉

コンビニの海外進出について、アジアにはファミリーマート、ローソンも進出していますが、アジア以外の地域はまだまだこれからという段階。
セブンイレブンは元々はアメリカの会社、海外でも認知度がありましたので、アジアを超えて世界で名の知れるコンビニエンスストアになっています。
その数なんと、世界7万店舗超え!!※3
※3 2022年4月時点

 https://www.7andi.com/company/history.html(セブンイレブン公式サイト)

ただ、世界中どこにでもあるというわけではありません。

アメリカの近隣、カナダ・メキシコとアジア諸国の他は、オーストラリアと北欧地域に進出しています。

これを聞いて、他のヨーロッパは入っていないのに、北欧だけ”なぜ…!?”という感じがしました。

何はともあれ、いかにして、セブンイレブンは勢力を拡大することができたのでしょうか。


その作戦は「エリアライセンシー」。

名前を貸して、運営は任せるといったような形です。

デンマークでは、ノルウェー・デンマークでスーパーマーケットと言えば3本の指に入る“REMA1000″をチェーンに持つ、Reitan Retailが7-ELEVENのライセンスを持っています。そのため、Reitan Retailのおかげで、7-ELEVENはノルウェー・スウェーデン・デンマークの3か国に広がっているというわけです。(なぜ、コンビニ競争の激しくなさそうな地域で、わざわざ7-ELEVENの名前を使う必要があったのかはわかりません。)

ここ1か月生活をする限りでは、コンビニといえばセブンイレブンの一本勝ちという印象。セブンイレブンの他はというと、新聞やたばこを売る昔ながらのKIOSKか、ガソリンスタンド併設のサークルKか、という感じ。KIOSKについては、見た目が古びた感じで「入って大丈夫か!?」と思ってしまうような店舗すらあります。

それでは、ここからデンマークのセブンイレブン店内一部をご紹介!

デンマーク感満載の7-ELEVEN!

7-ELEVENには、デンマークの全てが詰まっているといっても過言ではありません。知れば知るほど興味深いこだわりが、そこにありました。

ペストリーコーナー:ここはパン屋?

店内に入ると、何やらシナモンロールの香りが…
そう、デンマークと言えばデニッシュペストリー!クロワッサン、デニッシュなどバター多めのサクサク系パンたちがパン屋であるかのように並んでいます。

その代わり、袋に入った菓子パンは一つも売っておらず、ドーナツやケーキ、クッキーなどもショーケースに陳列されています。

一番上の段はビーガンのケーキです。ビーガンのオプションがあることはデンマークで当たり前になっています。
(しかし、デンマークは甘党が多い。)

見た目もたしかに気持ちをワクワクさせてくれるのですが、販売しているパンにはもう一つのこだわりが。食材廃棄を減らすために、7-ELEVENはデンマークのパン・ジュースメーカーとタッグを組み、ジュースの製造過程で余分になってしまった人参果汁をパン生地に練りこみ、7-ELEVENで販売するということを行っています。
※ 全てのパンではなく、一部のパンです。

もともと、すりおろし人参をパン生地に入れるというのは、デンマークで一般的なようなので、”にんじんパン”は消費者にとっても馴染みがあります。

7-ELEVENが音頭を取り、色々な企業を巻き込みながら、地球と人にやさしい商品を生み出していく。企業にとっても材料調達が安く済んだり、企業×企業のコラボは注目を浴びやく、皆にとってWIN-WINなわけです。

デンマークでは、「皆にとってよいものであるか」「一時的な良いものではなくて、未来に続く良いものであるか」が大切にされています。
食べ物ひとつにしても、安さや美味しさだけでは勝てない市場になっていることは確かです。

<気になる方、コラボ企業の情報はこちら>
どちらもオーガニック材料を使った素敵なコンセプトでジュース / パンを生産している会社です。
●Frankly Juice
https://franklyjuice.dk/en/blogs/nyheder/blogpost-testhttps://franklyjuice.dk/en/blogs/nyheder/blogpost-test
●Jalm & B
https://jalmogb.dk/gulerodskorn-bolle-med-frankly-juice/ 

セブンカフェコーナー:世界を救う!

こちらが、セルフカフェのエリア。お洒落なことは言うまでもないのですが、こだわりは他のところにありました。

提供するコーヒーへのこだわり
①フェアトレードのコーヒー
②オーガニックのミルク
③100%FSCの紙コップ

フェアトレードのコーヒーは、オーストラリアの7-ELEVENでも昨年2022年から採用しているようです。※4 
※4

 https://www.7eleven.com.au/products/drinks/coffee/fairtrade-coffee.html (7-ELEVEN Australia Official Site)
日本もフェアトレードコーヒーが当たり前になるのは、これからですかね(期待…!)

そしてどうしても触れておきたいのが、”オーガニック”について。

右の画像で、”okologisk”というのが”有機””オーガニック”を意味します。
日本ではオーガニックというと、少し値段が高くて、毎日は買えないものという印象。

しかしデンマークのスーパーでは、野菜、肉、スパイスに至るまでオーガニックで溢れ返っています。物価の高いデンマークですが、スーパーで売られている有機食材は日本で売られている普通の食材と、値段がそこまで変わりません。

それもそのはず、実はデンマーク、有機食材の個人消費率が世界No.1なんです。

たしかに日本はデンマークと気候が違い、高温多湿で雑草・害虫にとっては好条件。私は農業に関する知見はなく、日本で無農薬栽培はいろいろと難しいのかもしれませんが、ただデンマーク人の自然への配慮・健康に対する意識の高さは、日本をはるかに超えるものだと思います。

後編へ続く

さて、かなり長くなりそうでしたので、残りは後編にまとめたいと思います。もし気になる方は、後編を読んでいただけたらとても嬉しいです。

後編~店内レポートの続きと未来のコンビニ~

後編では、店内および商品レポートの続きと、世界から評されるデンマークの7-ELEVENから考えた未来のコンビニをテーマに、以下の内容をお届けしたいと思います。

★お弁当・飲み物・お菓子コーナーの紹介
★デンマークの7-ELEVEN目玉商品を実際に購入!
★日本のセブンにしかないもの
★未来のコンビニエンスストアについて考える

おまけ~デンマークの日常 にんじん大量上等!~

最後に、全くコンビニとは関係のない、自分の日常です。笑
記事の中で”オーガニック”について触れましたが、昨日スーパーで購入したにんじんも、オーガニック。(オーガニックの人参しか売っていませんでした…!)

私は単身住まいなのですが、売られているのは1kg単位!!じゃがいもも、たまねぎも、なんなら果物も1kgで売られていることが多々。
トマトやりんごはばら売りで、1個60円程度で売っている(安くて感動)のですが、デンマーク国内でよく採れる or 日常的によく食べる野菜・果物は、まとめてドカンと売られています。

デンマークの人参は日本のよりも細いので、こちらではそのまま生で食べている人も見かけるのですが…生で1kg消費は大変なことなので、ステーキにしてみました~

信じられないほど自然の甘みが感じられて、塩こしょうさえ要らない絶品のにんじんでした!

Vi ses ♪

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