デンマーク国内をドライブしていると、あちこちで風力発電機を目にします。
それもそのはず、デンマークでは国内の発電量のうち、半分以上が風力発電によるもの。
日本では、国内の発電量のうち風力発電が占める割合は0.9%と相当低いです。
言い換えればデンマークはそれほど風が強い!ということでもあるわけですが、その地理的な理由としては
1.偏西風の影響を(特に冬)受けやすい
2.山がないので風を遮るものがない
などが挙げられます。
どれくらい風が強いかを体感で表すと、自転車で前に進むのがきついと感じるくらい…分かりづらいですね。
一応自転車は乗れるくらいの風の強さですが、漕いでも漕いでも前に進まないような日もあり、風力発電がさかんに行われているのも納得です。
さて、今の時代、全世界に必要とされているのが”再生可能エネルギー”。
再生可能エネルギーとは、資源に限りのある化石燃料を使わずに、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどから得られるエネルギーのことです。
デンマークでは国内の発電量の8割以上が再生可能エネルギーを占めており、”環境先進国”と言われる所以でもあります。
そこで日本とデンマークのエネルギー源を比べてみると、驚くほどの違いがありました!
まずは国内発電量のうち、再生可能エネルギーが占める割合。2022年の時点(※1)で、デンマークは84%、日本は22%。
日本の残りの8割はというと、「石炭」「液化天然ガス」に頼っています。
※1 環境エネルギー政策研究所 2022年の自然エネルギー電力の割合
https://www.isep.or.jp/archives/library/14364
続いて、再生可能エネルギーの発電方法の内訳を見てみましょう。内訳の大きい順に
デンマーク:風力・バイオマス・太陽光
日本:太陽光・水力・風力
山がなく平坦で、冬は日照時間が短くほとんど曇りの日が続くデンマークでは、水力や太陽光はそこまで有力ではありません。
一方で特徴的なのは”バイオマス発電”で、単純にワラや木を燃やして発生した熱や、発酵により発生したメタンガスをエネルギー源にしています。
では、電気料金はどうでしょうか。
私の中では、電力自給率が低いと、電力不足に陥り電気代が高騰しそうなイメージがありました。
しかし実は電力自給率が約8割のデンマーク、家庭用電気料金が最も高い国の一つ。
理由は電気に対しCO2税を導入し、再生可能エネルギーを100%に近付けるための投資に回しているからです。
ちなみにデンマークの電気料金はすべて時間変動制。
デンマークでは食洗機を使うのがかなり一般的ですが、食洗機を使った食器洗いや洗濯は、時間帯ごとの電気料金をチェックしてから行うのが必須です!
今や再生可能エネルギーの分野で世界をリードするデンマーク。その裏にあるのは絶え間ない努力です。
1970年代の石油危機より前のデンマークは、エネルギーの99%近くを輸入化石燃料に依存していました。
そこで痛い目に遭った経験から、自国でグリーンなエネルギーを生み出す方向に大きく舵を切り、50年かけて現在の状況に辿り着いたのです。
ただ、このストーリーは、どんな国も変わることができる!という可能性を示してくれているような気がします。
日本の未来も50年後には変われると信じ、まずは自分の使っている電気に興味を持つことから、そして電力会社を選ぶなど、できることから始めてみませんか?♻
<参考文献>
環境エネルギー政策研究所
https://www.isep.or.jp/archives/library/14364
世界一電気代の高い国は?
https://selectra.jp/energy/guides/ryokin/denkidai-ichibantakai-kuni
Electricity Production in Denmark 2020
https://www.researchgate.net/figure/Electricity-Production-share-by-source-in-Denmark-2020-Illustration-based-on-data-from_fig1_354811691
denmark.dk “Pioneers in clean energy”
https://denmark.dk/innovation-and-design/clean-energy